定年後の賃下げに合理性、労働者側逆転敗訴

おはようございます。すっかり秋ですね、昼が暖かいのだけが救い、みたいな感じです。朝起きるのが、だんだんつらくなってきます。それでも踏ん張り、爽やかに朝を迎えたいものです。

横浜市の運送会社を定年退職後に有期契約の嘱託社員として再雇用された運転手3人が、定年前と仕事内容は同じなのに賃金を下げられたのは違法だと訴えた訴訟の控訴審判決が11月2日、東京高裁でありました。

裁判長は「賃下げは社会的に容認され、一定の合理性がある」として、原告側の請求を認めた一審東京地裁判決を取り消し、原告側の請求を棄却しました。原告側は上告する方針です。

争点は、定年退職後でも同一労働同一賃金が認められるかどうかです。一審判決は、有期契約の労働者と正社員の待遇に不合理な格差を設けることを禁じる労働契約法は、定年後の再雇用にも適用されると認定し、原告側の請求を認めていました。

この日の判決は、適用されるとしたものの「原告の賃金の減額幅は他社の平均を下回り、会社の赤字なども考慮すると、賃下げは違法ではない」と判断しました。

会社は定年後の再雇用を定めた高齢者雇用安定法に基づき原告を雇用しており、同法に基づく再雇用では「仕事内容が変わらないままの賃下げが社会一般で広く行われている」と指摘しました。

賃下げは「人件費の増大を避け、若年層を含めた労働者の安定的な雇用を実現する必要などから、一定の合理性がある」としました。

判決のよると、3人は横浜市の運送会社に勤務し、2014年に定年退職と同時に再雇用されました。正社員時と同様に大型車を運転していましたが、賃金は定年前から2割程度減りました。判決後、運送会社は「会社の主張が正当に認められたと理解している」とのコメントを出しました。

一方、原告側は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「大変、不当な判決だ。到底、納得しがたい」と、強い憤りを見せました。

代理人の弁護士は、再雇用の賃下げが「社会的に容認されている」とした高裁の判断を疑問視しています。「根拠がなく、妥当性を欠く」と批判しました。

まだまだ続きそうです。状況を見守りたいと思います。