遺族年金の男女差は合憲:地方公務員災害補償法

おはようございます。先週末、岩手も梅雨に入りました。とはいえ、雨が降ったのは土日のみ。今年はカラ梅雨でしょうか。

遺族補償年金の受給要件として、妻には年齢を問わないのに、夫には55歳以上と制限した地方公務員災害補償法の規定が法の下の平等を定めた憲法14条に違反するかが争われました。

この訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、19日、男女差の規定を合憲と判断し、違憲・無効とした1審・大阪地裁判決を取り消しました。裁判長は、「夫に比べ、妻は独力で生計を維持できない可能性が高く、男女差規定には合理性がある」と述べました。

当時51歳、市立中学校の教諭である妻を亡くした元会社員男性(68)が、地方公務員災害補償基金(東京)の不支給決定取り消しを求めていました。請求を棄却された男性は、上告する方針です。

控訴審判決によると、妻は、学級崩壊などで、うつ病を発症して1998年に自殺しました。2010年4月に公務災害と認定され、男性は同基金に遺族補償年金の支給を申請しました。同法は、妻の死亡当時に夫が54歳以下だと受給権を認めておらず、51歳だった男性は不支給になりました。

裁判長は判決で、遺族補償年金を「働き手を亡くした利益の喪失を補い、遺族の生活を保護するのが目的」と位置づけ、男女差規定を検討しました。女性に関する事情として①非正規雇用の割合(53.8%)が男性の3倍近い、②賃金が男性の6割以下と著しく低い、と指摘しました。

そのうえで「今日の社会情勢でも、妻は年齢を問わず独力で生計を維持するのは困難で、男女の受給要件を区別した規定は憲法に違反しない」と結論づけました。13年11月の1審判決は、共働き世帯が専業主婦世帯を上回るなど社会情勢の変化を重視しました。そして「性別で受給権を分けるのは不合理で差別的取り扱いである」とし、男女差規定を初めて違憲としました。

女性の給料は、男性と比べると低いですから、妥当な判決といえそうです。ということは、昔も今も日本は、男女平等とはかけ離れたままだ、ということです。だから先進国の中で男女平等が最低な国なのですね。つまり判決は適切だけど、男女平等については不適切だといえそうです。


3年過ぎても派遣OKか

おはようございます。今日は夏至だそうで、昼が一番長い日です。これからは、日が短くなっていくのか。確かにそうですが、にわかには想像できない。少しずつなのですね。

さて、テレビでもかなり取り上げられていましたが、労働者派遣法の改正案が19日、衆議院本会議において、賛成多数で可決され、参議院に送られました。今回の労働者派遣法改正の目玉は、「派遣期間は3年が上限」という期間制限を一部撤廃することです。

今の労働者派遣法では、派遣受け入れ期間に制限があります。原則1年で、一定の要件を満たせば、最長3年まで延長可能です。そして、この期間の制限に違反(抵触)することとなる最初の日のことを抵触日と言います。3年1日目ですね。

派遣の期間制限は、派遣先の同一場所、同一の業務について行われるもので、派遣される人を交代させたり、別の派遣会社から派遣を受け入れたとしても、派遣可能期間は更新されることはなく、抵触日以降は、派遣労働者を受け入れることができません。

この期間制限により、実務的には、派遣会社も派遣労働者を受け入れる会社も、抵触日以降は、派遣労働者を派遣先の直接雇用に切り替えるか、請負に切り替えるなどの対応が必要とされ、現場がストップしかねませんでした。

この改正案は、過去2回廃案になっていましたが、今国会の会期が大幅に延長されれば、延長国会で成立する公算が大きくなりました。

派遣労働者には、いつまで仕事が続き、いつなくなるかという不安が付きまとい、それが社会問題化されていました。これが反対の理由の一つですね。一方では、既に派遣労働者という人たちの、社会での必要性も認知されています。多くの派遣の現場で望まれていたものでもあります。

多様化する働き方のひとつとして、認めるのもいいのかもしれません。しかし、派遣労働者を受け入れる際には、派遣労働者の待遇の向上なども、受け入れ企業においては、充実を図ることが求められると思います。人件費はいろんな意味で重い。


労災療養中なのに解雇

おはようございます。なかな梅雨に入らない岩手です。男子サッカーは梅雨空か。

労災で療養中に解雇されたのは不当だとして、専修大学の元職員の男性が、解雇無効を求めていました。この訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は、6月8日、「労災保険給付を受けている場合でも、保証金を支払えば解雇できる」との、初めての判断を示しました。

そのうえで、解雇に合理的な理由があるか検討が不十分だとして、二審東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻しました。なお、一審、二審ともに男性は勝訴していました。

男性の弁護団は、雇用側の解雇対象が広がる判断であり、「安心して治療に専念する権利を奪う不当な判決だ」と批判しました。

労働基準法は、業務によるケガや病気で休業する期間は解雇を原則禁止しています。ただし、雇用側が療養費を負担し、療養開始後3年経っても治らない場合は、平均賃金の1200日分の打切補償を支払えば、解雇できると規定しています。

男性は2003年、腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」と診断され、07年に労災認定と労災保険決定を受けました。男性は11年、リハビリをしながらの職場復帰を求めましたが、専修大学は認めず、打ち切り補償金約1629万円を支払って解雇しました。

第2小法廷は、「労災保険給付は、雇用側が負担する療養費に代わるものだ。打ち切り補償後も、ケガや病気が治るまでは給付が受けられることも勘案すれば、労働者の利益が保護されないとは言い難い」と指摘しました。

この件についての詳細はわかっておらず、またご本人には気の毒なのですが妥当な判決だと思ってしまいます。というか、一審、二審がおかしいように思うのですが・・・