おはようございます、といっても夜ですが。明日は冷え込むそうで、しっかり寒さ対策をして休みましょう。
東京のタクシー会社が、残業をした運転手の賃金を計算する際に、歩合給から残業代と同額を差し引いていました。これについて東京地裁は、労働基準法の趣旨に反するとして会社に1457万円を、運転手に支払うよう命じました。
この会社の運転手の賃金計算方法では、残業代や深夜残業手当が生じた場合、それと同じ額を歩合給から差し引くようになっていました。これを運転手たちは、残業代が支払われていないのと同じで不当だ、と主張して、差し引いていた額を支払うよう求めていました。
1月28日の判決で、東京地裁の裁判長は、運転手の言い分を認めました。この計算方法では、残業した運転手も、残業していない運転手も、賃金が全く同じになる場合がある。時間外労働に対して、割増しされた賃金で補償するという労働基準法の趣旨に反し、公序良俗に反して無効と判断したようです。
この計算方法については疑問に感じていましたし、納得しかねるところがありました。私見としては、妥当な判決だったと思います。
でも、当の会社は、以下の理由で控訴しました。タクシー業界では、この計算方法が常識的で、他のタクシー会社もこうしている。これまで労働基準監督署から、歩合給の計算方法について問題だと指摘されたことは一切ない。納得できない。
タクシー業界に関連する通達では、このような事件の類似ケースが想定されたものはないのだそうです。決して監督官の肩は持ちませんが,監督官にすれば、通達でも記載されていないグレーな状況において、指摘はできなかったのかもしれません。
いずれにしても、この裁判、決着したわけではありませんが、もし地裁の判断が確定すれば、タクシー業界にとって、大きな衝撃になるでしょう。そして数年後、監督署の重点調査は、タクシー業界となるのでしょうか。