言葉のセクハラによる懲戒処分は有効

おはようございます。まだまだ寒いですが、3月になりました。いかがお過ごしでしょうか。

職場で、女性に性的な発言をしたとして出勤停止の懲戒処分を受けた男性2人が、会社を相手取って、処分の無効を求めた訴訟の上告審で、2月26日に、判決が最高裁で言い渡されました。

最高裁は、処分無効を求めた2審大阪高裁の判決を破棄し、言葉によるセクハラでの懲戒処分は有効との判断が確定しました。体への接触に比べて軽く見られがちな、言葉のセクハラについて、最高裁が企業の厳格な対応を支持した形です。

大阪市の水族館の運営会社で管理職だった40歳代の男性2人は、部下の女性2人に対して「結婚もせんでこんな所で何してんの、親泣くで」「もうお局さんやで、怖がられてるんちゃうん」などと発言していました。

露骨に性的な表現を使った言葉もあったため、会社側は、2012年2月、セクハラに当たるとして男性2人を、それぞれ30日間と10日間の出勤停止とし、課長代理から係長に降格させました。

男性側は、発言はセクハラに当たらず、事前に注意も警告もしないで処分したのは不当だと主張しました。1審は、女性を侮辱したり、強い不快感を与えたりしており、処分が社会通念に反するとはいえないとして、請求を棄却しました。

しかし2審では、発言をセクハラとは認めたものの、女性から直接、明確な抗議がなかったうえに、職場で男性らに適切な指導がされていたか疑問があり、突如、懲戒処分にしたのは酷に過ぎる、などとして、会社側の逆転敗訴を言い渡していました。そして2月26日に最高裁での懲戒処分は有効との判断が確定したのです。

大阪と聞くと、このような発言は、ごく普通に行われているような感覚があり(大変失礼しました)、こわい感じがします。ノリやシャレで済まそうとしてもダメということですね。からかうつもりでも侮辱ととられ、不快感を与えてしまったらセクハラになるということですね。もっともこの2人、1年以上言葉のセクハラを続けてきたようで、これではやはりセクハラでしょう。


日本航空の整理解雇は有効か

おはようございます。まだまだ寒い日が続きます。そして今日、久々に、やや大きめの地震がありました。あまちゃんでおなじみの久慈港では、20センチの津波が観測されたとか。とにかく高いところに逃げましょうね。

さて、先日、日本航空の裁判が立て続けに出されました。まずは、1月28日に大阪地裁で出された判決です。

経営再建中に整理解雇された客室乗務員の40代女性が、社員としての地位確認などを求めて訴えていました。この裁判では、解雇は無効とし、社員と認めて、賃金約1100万円を支払うよう命じました。

判決によると、会社更生手続きを申請していた日本航空は、2010年12月に客室乗務員84人を整理解雇しました。このとき、病欠や休職から9月27日までに乗務に復帰していれば解雇対象外とし、10月に復帰した原告は解雇されました。

ところが、日本航空は、11月になってから、9月27日の復帰基準日を、さかのぼって設定したことから、原告が解雇対象とされるのは不合理と判断しました。

一方、2010年12月に客室乗務員84人とパイロット81人を整理解雇した件について、東京高裁は、「会社を存続させ、合理的に運営する上で、やむを得なかった」と判断し、解雇を有効とした東京地裁判決を支持していました。

この事件について、解雇は無効だとして、客室乗務員71人が、地位確認などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は、2月4日付で、原告らの上告を退ける決定をしました。つまり解雇は有効との判決が確定したのです。

状況など、詳しいことは存じ上げないので、軽々しいことは言えませんが、解雇判断は微妙であるということ。そして、解雇は非常に難しいということ。

それでも最高裁の判決を見るにつけ、会社存続が優先されるということでしょうか。


タクシー運転手の残業代ゼロは無効

 

おはようございます、といっても夜ですが。明日は冷え込むそうで、しっかり寒さ対策をして休みましょう。

東京のタクシー会社が、残業をした運転手の賃金を計算する際に、歩合給から残業代と同額を差し引いていました。これについて東京地裁は、労働基準法の趣旨に反するとして会社に1457万円を、運転手に支払うよう命じました。

この会社の運転手の賃金計算方法では、残業代や深夜残業手当が生じた場合、それと同じ額を歩合給から差し引くようになっていました。これを運転手たちは、残業代が支払われていないのと同じで不当だ、と主張して、差し引いていた額を支払うよう求めていました。

1月28日の判決で、東京地裁の裁判長は、運転手の言い分を認めました。この計算方法では、残業した運転手も、残業していない運転手も、賃金が全く同じになる場合がある。時間外労働に対して、割増しされた賃金で補償するという労働基準法の趣旨に反し、公序良俗に反して無効と判断したようです。

この計算方法については疑問に感じていましたし、納得しかねるところがありました。私見としては、妥当な判決だったと思います。

でも、当の会社は、以下の理由で控訴しました。タクシー業界では、この計算方法が常識的で、他のタクシー会社もこうしている。これまで労働基準監督署から、歩合給の計算方法について問題だと指摘されたことは一切ない。納得できない。

タクシー業界に関連する通達では、このような事件の類似ケースが想定されたものはないのだそうです。決して監督官の肩は持ちませんが,監督官にすれば、通達でも記載されていないグレーな状況において、指摘はできなかったのかもしれません。

いずれにしても、この裁判、決着したわけではありませんが、もし地裁の判断が確定すれば、タクシー業界にとって、大きな衝撃になるでしょう。そして数年後、監督署の重点調査は、タクシー業界となるのでしょうか。