定年後に継続雇用された人は5年経っても無期転換できない

おはようございます。今年もあと1か月で終わります。来年の目標を立てなければと思っている今日この頃です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、専門知識などを持つ有期雇用労働者等に関する特別措置法案が可決、成立しました。これって、どんな法案なのでしょうか?

労働契約法第18条には、同一の労働者との間で、有期労働契約が繰り返し更新されて、通算5年を超えたら、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換できる、と規定されています。今回の特別措置法案は、労働契約法第18条に対する措置としてできたものです。

つまり、有期労働契約が5年を超えても、無期労働契約には転換できない場合がありますよ、ということです。具体的には、次のとおりとされました。

①「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」につく高度専門的知識がある有期雇用労働者については、一定の期間内に完了することが予定されている期間(上限10年)は、無期転換申込権が発生しないことになりました。

例えば、オリンピックに向け、ある競技施設を建てるのに8年かかるとしても、その8年間は、無期転換を申し込むことができない、ということになります。

②もう一つは、定年後の再雇用についてです。定年後に有期契約で継続雇用される高齢者については、定年後、引き続き雇用されている期間は、無期転換申込権が発生しないことになりました。これは、労働契約法が成立した後、今回の特別措置が必要となる点が見逃されていたものです。

②については、60歳で定年退職し、その後65歳まで有期労働契約を繰り返した場合、労働者の申し込みにより、またまた無期労働契約に転換されるのか?ということを食い止めることになりました。

以前は、65歳に、第二定年を設けるといった対応を検討された会社もあるかと思いますが、このような対応は不要となりました。妥当なところに落ち着いた、というところでしょうか。

この法案の成立により、同法は2015年4月1日から施行されることになります。


秋田魁新報が是正勧告を受ける

おはようございます。一段と寒さが増してきました。お身体、ご自愛ください。

秋田県の新聞社が、10月30日、労働基準監督署の是正勧告を受けました。なお、発表があったのは、11月5日でした。この差はなにかしら、と思ってしまいます。秋田魁新報社は、岩手でいえば日報に相当する会社だと思いますが、東北では最も古い歴史を持つ新聞社だそうです。

さて、勧告の内容は、約220人に対して、1~6月の残業未払いが7500万円あった、というものです。同社では、残業代については、労使合意のうえ、定時間制を採用していたそうです。つまり、実際の労働時間にかかわらず、一定額を支払っていました。

例えば、残業40時間分を毎月支払っていた、ということです。新聞社ですから、取材、編集など、ほぼ24時間365日稼働しているのでしょう。働き方が多様化している職種なのではないでしょうか。それなら、残業代は、一定額を支払っておいた方が、給料計算がラクということはあると思います。

この会社の問題点は2つあったように思えます。一つは、健康管理面も含めて、労働時間を管理することは、会社にとって必須です。今回は、そこが欠けていたということ。もう一つは、例えば40時間を超えて働いた残業代を支払っていなかったということ。

7500を220で割ってみると、1人あたり月平均57千円となります。結構な金額です。また、推測の域を超えませんが、かなりの時間になると思われます。

会社は、時間管理をしていなかったのですから、オーバー分を支払う必要があるなどとは考えてもいなかったのでしょう。

このような事件は、よくあることではあります。そして、残業代を定額払いをしている会社もあるでしょう。この件を他山の石とせず、うちは大丈夫か、今一度確認してみてはいかがでしょうか。人の振り見て我が振り直せ、はい私もです。


有名ビューティークリニック提訴される

おはようございます。朝起きてからの行動が、カメになってきました。いかんいかん。皆さんは、そうではないですよね。

今年8月、ビューティークリニックに対して、労働基準法違反の是正勧告が行われました。社長が社員に、威圧的な発言をした音声が公開され、大きく報道されました。これは仙台店についての事件でしたが、それだけでは収まりませんでした。

今度は東京で、マタニティハラスメントがあったとして提訴。さらに仙台店でも、残業代の支払いを求める提訴と、社員の不満が各地で爆発、といった感じです。つまり、発生は仙台だったけれど、不満の種は、各地にあった、そういう会社だったということです。

訴えの中身を見てみると、
・長時間労働により妊娠中の身体に大きな負担があり、切迫早産になった
・妊娠後、エステティシャンからフロントでの受付業務への配置転換を求めたが拒否された
・そもそも残業代をもらっていなかった
・忙しくて、おにぎりひとつ食べる時間がなかった
・ストレスにより胃腸炎になった
・ジュエリー、マッサージ用品など自社商品を、ローンを組んで購入させられた
・ノルマがきつくて、お客様に、不要なエステサービスを勧めざるを得なかった

ここに至るまでには、いろいろと打つ手があったはずなのですが、経営・利益が優先されてきたためなのか、これほどの大事になるとは考えていなかったのか。

お客、お店、社員のこと、そして社会のことを考えて経営しないと生きていけないのは、今も昔も同じこと。忙しくて、労働時間が長くても、うまくいっている会社は多くあります。社員は、お客さんのことを考えていて、自分の考えを言うことができて、行えるから、やりがいがある。目標ができる。一方会社は、社員のことを考えているから、社員の言動を認め、行動を奨励している。労使って、対立するものではなく、目標に向かって共に進むものだと思います。

利益一辺倒では無理が生じてしまいますね。いずれにしても、コミュニケーションが不足していたといえるでしょう。感情的な対立へのケアが不十分で、遂には社員も耐えられなくなり、一気に爆発というケースは、本当によくあることです。

みんなわかっているんです。わかってはいるのですが、できないんですかね。人間って学習するんです、でも続けていないと忘れる生き物です。こういった事件を学習材料の一つにして、自戒していきたいと思います。